企業経営者が知っておきたいBCP策定の大きなメリット3つ

企業経営者が知っておきたいBCP策定の大きなメリット3つ

BCP策定は思った以上に企業にとってメリットがあります。そうは言っても、多くの企業経営者やリスク担当者がBCP策定になかなか着手できないでいるかと思います。政府からの要請もあり、「面倒だな」と感じている人も多いかと思いますが、この機会にそのメリットについて確認しておきましょう。BCP策定の基本については中小企業庁のサイトでまず確認しておきます。

BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

(中小企業庁https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html)

これをみると確認対象が多く、また想定範囲も広いので難しそうと感じるかもしれませんが、だからこそ今の企業の経営状態を確認する好機となるのです。

ここでは、企業がBCP策定をすることのメリットを3つ紹介していきます。BCP策定にはその企業に関わる細かい部分までチェックして棚卸していくことが必要です。まだ起きていない事態に対しての計画を立てるのは、なかなか腰が重くなってしまいがちです。

しかしBCP策定をするだけでも、企業にとって大きなメリットがあり、また企業価値を高める効果があります。義務的な作業であると思わず、ぜひ役に立つ、前向きな事業としてBCP策定をとらえていただければと思います。

メリット1 災害時の倒産、顧客流出などのリスクを避けられる

 1つめはある意味で当たり前のことで、そもそもこの制度のもともとの目的になるかと思いますが、「災害時の倒産、顧客流出などのリスクを避けられる」ということです。

自然災害やテロ、システム障害などの危機的状況によって業務の継続が難しくなったときどのように対処するでしょうか。BCP策定を行っていないとこういった状況において、対応の優先順位がわからなくなることや、そもそも対応するべき項目が多すぎて場当たり的になることが考えられます。その結果、本来の業務が停滞し、倒産の危機に陥ることになります。あるいは、倒産までいかなくとも、関係各所への業務等が滞り、また顧客へのサービスも遂行できなくなり、顧客流出につながっていき、企業は大きなダメージを受けてしまいます。

そのような事態を避けるため、平常時に十分な準備が必要です。そのためのガイドラインがBCP策定ということになります。これにより、危機的状況に陥った場合でも、被害を最小限に抑えて、企業の中核事業を早期に復旧し、顧客の流出を抑え、倒産のリスクも回避できるというわけです。

実際、2011年の東日本大震災では、2022年2月までの時点で、震災関連倒産が累計2085件となっています。事業継続ができている被災地企業でも、震災発生前(2010年)の水準に回復した企業は全体の65%となっており、3社に1社は震災以降の11年間で、1度も売上高が震災前の水準に届いていません。

こうした事態を避けるためにも、災害などの危機的状況における復旧策、すなわちBCP策定が必要なのです。

メリット2 経営状況が可視化され、経営計画が立てやすくなる

 1つめのメリットは、リスクを避けるための言わばネガティブなメリットでしたが、2つめのメリットはポジティブなものです。それはBCP策定の過程で経営状況が可視化され、現在の経営計画が立てやすくなるということです。これはBCP策定による大きな副産物とも言えます。

BCP策定作業の段階で、企業は自身が持っているさまざまなリソースを棚卸したり、業務のプロセスを再確認したりすることになります。その過程で自身の企業をいわば“再発見”することになります。これにより、現在の経営状況が可視化され、問題点や課題なども浮き彫りになってきます。その結果、中核事業を絞り込むことや、企業にとって重要な業務プロセスの見直し、資材等の優先順位が把握でき、中長期的な経営戦略が立てやすくなります。

これを期に自社を棚卸するつもりでBCP策定に着手するという視点が大事になってきます。その結果として現在の経営状況が可視化され、自社の強みと弱みがわかり、今後の経営計画を立てる際に役立ちます。

メリット3 対外的な信用度が上がる

3つ目のメリットは、企業の周りの利害関係者すなわち顧客や株主、取引先、消費者、行政、従業員、地域住民などからの信用が大きく上がるという点です。

BCPを策定することは、まず顧客への事業中断リスクをさげます。また株主や取引先の信頼度の向上、市場での競争力の強化にもつながります。企業として社会的責任を果たすことになり、行政や一般消費者の信頼度も向上するでしょう。また、これから一般企業は、BCPを策定して事業継続能力のある企業を、取引先の選定基準とする傾向が出てくることも考えられます。

こういった企業の社会的責任を果たすことは、顧客の安全確保、環境汚染などの二次被害の防止、早期の業務回復による地域の雇用確保、地域貢献、地域との共生等にもつながっていきます。さらに、企業を守る経営者の姿勢を示すことで、従業員に安心感を与え、関係を強化することになります。

企業は多くの対外関係者、利害関係者が関わって成り立っていますが、これらの関係者に対して、BCP策定を行ったことは大きなアピールになり、企業価値に直結していくと言えます。

以上3つのメリットから見てきたように、BCP策定を行っておくと、実際に災害などが起こったときに早期にスムーズに対応できることはもちろん、策定の段階では、企業自身の経営分析ができ経営計画にもつなげられます。また対外関係者すべてに大きな安心を与えられ、今後の経営にも良い影響を与えることになります。

確かに、策定作業は面倒で地道な部分もありますが、得られるメリットは大きいのでぜひ早期に着手していきましょう。

もしBCP策定について「何からはじめればいいか分からない」「着手したが具体的にどうすればいいか分からない」などお悩みがありましたらご相談ください。

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